離婚の理由 強引な転職


転職は扶養家族のいる人の場合、大きなリスクを背負うものです。妻の不安や心配といった感情をないがしろにして無理に転職した場合、うまくいかなかったときなど、離婚の理由となることがあります。

大手企業で働いていたDさんは、安定した高収入を得、30歳で職場結婚。家庭もうまくいっており、周囲からはうらやましがられる環境でした。しかし、働いていた会社は、与えられる仕事をコツコツ毎日こなす日々。

Dさんが本当にしたかったのは、自分たちでアイディアを出し合い、自分たちが主体となって計画・実行していく仕事でした。Dさんは悩んだ結果、思い切って、大手企業での安定した仕事を辞めることにしたのです。そのことを妻に打ち明けると、妻は大反対しました。

安定した大手の企業での立場、高収入、たくさんあった家族とともに過ごす時間…こうしたものを失うかもしれないという不安、これからどうなるのかという不安で妻は押しつぶされそうでした。

しかし、Dさんは結局、転職の考えを無理に押し通し、以前から考えていた自分の力が存分に発揮できる会社に就職しました。

Dさんは自分の力を発揮できる会社とあって猛烈に働きました。以前と違い、やればやった分だけ成果となってあらわれ、評価されました。しかし、知らず知らずのうちにバランスを崩し、会社での成功は家庭での失敗となって表れ始めたのです。

以前は毎日午後6時には帰宅できていましたが、今回は、忙しいと残業はあたりまえになったので、家族で一緒に夕食をとる時間もなくなっていき、意思の疎通はどんどん減っていきました。

Dさんの満足と反比例して妻の不満は日に日に募るばかりで、いつしかけんかの絶えない家庭となり、12年続いた結婚生活から一転、現在は離婚間近の別居中です。

Dさんの失敗の理由

仕事で家族と時間をあまり過ごすことができない男性の場合、クオリティタイム、つまり質で量をごまかそうとすることがあります。お正月やゴールデンウィーク、夏の盆休みなどの大型連休に家族をどこかへ連れて行ったりして家族サービスをするわけです。

しかし所詮、妻の不安や反対を押し切ってのわがままな転職は、多かれ少なかれ摩擦を生じさせます。1年間365日で15日ほど家族と一緒に過ごせても、あとの350日は仕事にどっぷり、家族はほったらかしなわけですから。

夫が家族のためにどんなに新しい仕事で頑張っていても、妻からしてみれば「私や家族よりも仕事を選んだ」というふうに映ってしまい、最悪の場合Dさんのように家族がばらばらになってしまいます。

妻の反対意見を半ば無視して無理に転職をする男性の場合、口にしないとしても…「働いて家族にご飯を食べさせているのは私だ。だからどんな仕事をするかは私の自由であって、妻はついてきて当然」…というような考えが心のどこかにあることが多いものです。

結婚する時点で男性の側に将来、転職や独立する考えがあるのなら、きちんと細かいところまで自分の考えを伝えておかなければなりません。結婚して何年かたってからある日、急に仕事をやめるといわれても妻としてはびっくりするばかりです。

それが離婚の理由となって残念な結果に終わってしまっては、お互いの人生がもったいないのではないでしょうか。女は夢を語る男性に弱いといいますが、現実の不安にも弱いということを男性はよくわきまえて決定してあげなければなりません。