非常時には子孫を残そうとする本能が働く?

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2011年3月11日に生じた東日本大震災後、突然女性から男性に連絡がよく来るようになったという奇妙な現象が生じました。動物行動学的見地から見ても、大震災などの非常時において、女性が男性を受け入れやすくなっているという傾向があるのかもしれません。

たとえば、1965年、ニューヨークを中心とするアメリカ北東部では大停電が起こり、3000万人もの人々が暗闇の中で一夜を過ごしました。その270日後にベビーラッシュが起きたことが知られています。

また、2005年にアメリカ南部を襲ったハリケーンカトリーナの後にも、同様のことが起こりました。人間の女性は一定の周期で排卵をする「自然排卵」ですが、非常時においては、大きな不安や恐怖が刺激となって予定外の排卵が起きるのかもしれません。不安なときこそ、人間は本能的に子孫を残そうとするということなのでしょうか。

将来への不安に目覚める人たち

晩婚化の進んだ今日、これといって大きな変化のない日常においては、女性も結婚して四苦八苦するより、独身のまま実家暮らしの方が気楽という人は少なくありません。しかし、東日本大震災などの非日常的なショッキングな経験を通して、独身女性の中には、自分がこれからもずっと独身であり続けることに不安を感じる人がいるようです。

栃木県の宇都宮にある大企業で働く35歳の独身女性は、2011年3月11日の地震当日に一抹の寂しさを覚えたといいます。『同じ職場の既婚者は、「夫は大丈夫かしら」、「学校に行ってる子供は、無事かしら…」とみんな家族の心配をしていたんです。

その様子を横目で見ながら思ったんです。「私には、心配する恋人も、家族もいない」。もちろん九州に住んでいる両親は電話をくれましたけど、私には身近に心から心配したり、してくれる人がいないことに気づいたんです。それ以来、このままでいいのかなって思うようになりました。このまま歳を取り、一人ぼっちになったら、いつかは孤独死するのかなって考えてしまって、言いようのない寂しさや悲しさに襲われたんです』。

…このような感想を持ったのは、この人だけではなかったようです。同様の感想を、周囲の同じような立場の女性たちが数多く口にしていました。「愛を分かち合える対象」を探そうという意識が強くなったのかもしれません。震災は、一人が気楽でいいと考えていた女性たちに誰かと深く関わって生きて行くことの大切さを考えさせる機会となりました。

東日本大震災などの非日常的なショッキングな経験は多くの人にとってつらい記憶となりますが、人々に物事を深く考えさせます。本当に大切なもの、平和な日常生活の中で忘れていたものを思い出すよう、私たちに教えてくれているのかもしれません。