なぜ都会では人が冷たいのか

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騒音の違いだけで人の優しさにも違いがでてくるようです。騒音の多い都会と静かな田舎を比べると、都会の人のほうが冷たい傾向が強いようです。なぜ都会の人は田舎の人に比べて冷たいのでしょうか?それは、都会の人が冷たいのではなく、環境がそうさせているのです。たとえば、同じ人でも騒音が大きいところでは人を助けなくなってしまいます。

静かな環境と援助の関係を実験

実験は騒音の少ない住宅地で行われました。被験者が歩いてきたら、実験者は歩道横に駐車しておいた車から本を高く積んだダンボール箱を持ち上げ、正面の家に向かって歩道を横切り始めます。

被験者がすぐ近くまで来たところでつまづいたように本を歩道に落とします。この本を落とした被験者は右手に大きなギブスをはめています。このときに歩いてきた人は本を拾うのを手伝ってくれるでしょうか?実験の結果、80%の人が本を拾うのを手伝ってくれました。

騒々しい環境と援助の関係を実験

今度は同じ場所で、同じような実験ですが、もう一人の実験者が加わり、家の横にある芝生の上でエンジン駆動の芝刈り機の調整をしています。この実験では、さきほどのギブスをはめた実験者が本を落とした瞬間、もう一人の実験者が、消音装置をはずした芝刈り機を動かし、ものすごい騒音が生じるようにしました。

実験の結果、高騒音状態では、低騒音状態に比べ、本を拾うのを手伝う人は15%という、極めて少ない結果が出ました。実験の結果、その人が冷たいというよりも、高騒音のもとでは注意を制限され、援助に目が向かないということを示しています。都会の人が冷たく思えるのは、都会の騒々しい環境が人の援助を妨げているからなのです。